お構いなしに淡々と
ままならないこと、自分がコントロールできないこと、につながっていたい。自分の生身の体の感覚を感じたい。そんなことを思って畑をしている。
人によっては、それは山に登ることだったり、サーフィンだったりヨガだったり、子どもがいる人なら日々子どもとの生活だったりするかもしれない。今の私には、たまたま畑がある。
この時期は、緑がモクモクと勢力を広げ、1週間前とはガラリと景色が変わる。
こないだは麦が成長しているのを発見した。
去年11月末に種を蒔いた。適期も少し過ぎているし、しばらく様子を見ていても発芽していないようだから、すっかり諦めていた。穂が出たから初めて気がついた。当時の恋人が、種が余ったからと私にくれた。なんだかセンチメンタルな気分になる。そんな私の表層的な気分なんかお構いなしに、麦は麦の命を淡々と営んでいる。その様子に、私は勝手に慰められる。
周りの旺盛な草の勢いに負けず、逞しい。
誤って刈ってしまった穂を持って帰り、ビンに挿した。
命を絶たれたはずの麦の穂はさらにふくらみ、今、花を咲かせている。